2025年10月5日
こんにちは。最近の野球界ではロサンゼルス・ドジャース(LA)がポストシーズン(PS)で地区シリーズ進出を果たしました。大谷選手や山本投手が活躍され、最近では佐々木投手が怪我から復帰し、日本人トリオが勢揃い致しました!⚾️そんな佐々木投手は以前まで右肩の痛みで試合に出られない状況に陥ってしまい、原因は右肩インピンジメント症候群でした。そこで、今回は肩インピンジメント症候群についてお伝え致します。
【病態】
○肩の関節を構成する骨同士が衝突したり、骨の間に筋肉が挟まれて、痛みが生じる状態です。
○野球などの投球動作で肩の痛みが生じやすく、「野球肩」の一種として知られています。
○インピンジメント:「衝突」の意味です。
【発症メカニズム】
①投球動作で肘が頭の後方に来る位置からボールを加速させて投げるまでの間、肩の開きが早かったり、肘が下がって肩にあそびができぶれると、肩関節前方にストレスが加わります。
②①により肩甲骨と上腕骨の間のスペースが狭くなることで骨同士が衝突し、その間にある腱板(肩のインナーマッスル)や滑液包が炎症を起こしたり、損傷が生じます。
③ボールを投げすぎると肩甲骨が固くなり、腱板は筋疲労で固くなり、腱が薄くなります。その上で肩を支える力が弱くなり、肩がぶれて衝突を起こしやすくなります。
【検査】
○レントゲン:骨同士の隙間や骨の棘を確認します。
○MRI:腱や滑液包の炎症、骨が腱板を圧迫していないか、筋肉の炎症などを確認します。
【治療】
①保存療法:
○安静と冷却:急性の場合は無理に投げずに安静し、患部にアイシングで炎症を抑制します。
○薬物療法と注射:症状が強い場合は消炎鎮痛薬の投与やヒアルロン酸を注入します。
○リハビリ:理学療法士の指導による肩甲骨周囲筋や腱板の筋力強化訓練。姿勢矯正、肩関節や肘関節、体幹などの関節可動域の改善も重要になります。
②手術療法:
○ 保存療法でも改善しない場合や、腱板に高度な損傷がある場合は、手術が検討が必要になります。
○ 骨の一部を削って、腱板との衝突を減らす手術があります。また、腱板が断裂している場合は縫合して再建する手術もあります。
【競技復帰】
○ 正常な投球フォームの習得:
フォームの乱れは肩への過度な負担になる為、体幹を活かした省エネフォームを獲得が必要になります。
○肩周辺の筋柔軟性維持と筋力強化:
肩甲骨周辺の筋肉のストレッチも日常的に取り入れながら、肩甲骨周囲の筋肉訓練を行い、肩関節の安定性を確保する必要があります。
○投球回数や強度の管理:
練習メニューを工夫し、週単位での投球量や休息日を明確に設定することが重要になります。
○復帰率:
多くの投手が競技レベルに戻れていますが、投手の手術症例は競技復帰率が約68%で野手より低下しています。
○期間:
復帰までは一般的に数ヶ月〜1年程度かかります。また、手術治療の方が復帰まで時間がかかります。
【最後に】
最近では涼しくなり、インフルエンザが流行しています。手洗いやうがいなどを心がけ、体調管理に気をつけてましょう!
理学療法士 塩野